引用:2013年12月4日/Facebook【医療法人社団医献会 辻クリニック】
【老化をとめる=酸化(脂質酸化)をとめる】の意味
老化予防や病気予防の中心に「抗酸化」がありますが、特に重要なのが『脂質の抗酸化』と言ってよいでしょう。
多くの方は<あぶら>と聞くと体脂肪を想像するかもしれませんが、生体における<あぶら>の主役は『リン脂質』です。
リン脂質は「疎水部:水に反発」と「親水部:水に馴染む」が結合した物質で
*細胞膜(脂質二重膜)を作るグリセロリン脂質
*神経鞘(ミエリン)を構成するスフィンゴリン脂質
などがあります。
生体におけるリン脂質は、細胞内外の物質輸送の場である細胞膜と、神経伝達のための絶縁体である神経鞘(しょう)を作るとても重要な脂質です。
この脂質は「グリセリン」または「スフィンゴシン」を中心に
*2つの脂肪酸
*1つのリン酸エステル
が結合した物質で、脂肪酸部分が疎水性、リン酸部分が親水性となる「界面活性作用」を持った脂質です。
リン脂質が酸化によって劣化すると、
・細胞膜の機能低下
・神経伝達機能の低下
を引き起こすため、リン脂質に対する抗酸化戦略はとても重要です。
リン脂質の酸化は『脂肪酸部分』で発生します。
ここで利用される脂肪酸は『不飽和脂肪酸』と呼ばれる液状の『油』です。
不飽和脂肪酸(RH)はとても酸化しやすい物質です。(その反応の早さが機能となっています)
図にあるように、細胞内や紫外線、放射線などで発生した『ヒドロキシラジカル:OH・』は、不飽和脂肪酸から水素を奪い(水を作り)、水素を奪われた脂肪酸は『脂肪酸ラジカル:R・』となります。
脂肪酸ラジカルは、体内の酸素と反応し、悪性度の高い『ペルオキシラジカル:ROO・』となります。
ROO・は周囲の正常な脂肪酸(RH)を巻き込み、まるで『ドミノ倒し』のように連鎖的に酸化劣化を促進させます。
この脂質酸化連鎖時に『過酸化脂質:ROOH』が作られます。
過酸化脂質は
*そのものがスーパーオキシドを産生(酸化促進)
*細胞レベルの微細炎症を促進
を引き起こしたり、変性脂質として組織沈着を起こし
*動脈硬化
*神経変性
などを引き起こします。
完成してしまった過酸化脂質は分解スピードが遅く、細胞膜や神経組織に沈着してしまうことが問題です。
よって、過酸化脂質から細胞を守るには『過酸化脂質の産生を予防する』という考え方になります。
水素は
*ヒドロキシラジカルの除去
*ペルオキシラジカルの連鎖ブロック
という2段階で脂質酸化を抑制することがわかっています。
これは水素分子が「水溶性/脂溶性に関係なく抗酸化能力を発揮できる」「ヒドロキシラジカル/ペルオキシラジカルともに除去できる」という特徴からくるものです。
脂質の酸化変性してしまった部位へのアプローチは今後重要な研究テーマとなってきますが、少なくとも「脂質過酸化に伴う病気/老化の進行」は抑制することができます。
加齢による変性疾患は
*動脈硬化
*糖尿病
*アルツハイマー病
*パーキンソン病
*しみ/しわ/たるみ/くすみ/加齢臭
などを連想するでしょうが、これらはすべて生体を構成する脂質の酸化といってもよいでしょう。
これが『老化をとめる=酸化(脂質酸化)をとめる』と言われる所以です。
このように「抗酸化治療戦略」においても『治療より予防』ということが重要であることがわかると思います。
変性疾患と老化をしっかり予防することは、これからの「老化社会」にとってとても重要になってくるでしょう。
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