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論文17

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Hydrogen Attenuates Allergic Inflammation

by Reversing Energy Metabolic Pathway Switch

水素はアレルギー性気道炎症を軽減させる

 

 

 

(10秒で読めるまとめ)

アレルギー性の気道炎症を再現したネズミに、水素を7日間投与した結果、水素が、アレルギー反応が起こるときのエネルギーの代謝経路を逆転(正常化)させ、細胞ダメージを修復する働きを高めることで、気道の炎症を軽減することがわかった。

 

 

 

(1分で読めるまとめ)

◆結論

水素は、エネルギー代謝経路を切り替えることで、アレルギー性の気道炎症を抑制することがわかった。

◆ポイント

·  エネルギーを得る方法(代謝経路)には、非効率的だが瞬発力のある強力なエネルギーを得られる「解糖系」と、弱いながらも効率的で長く持続するエネルギーを得られる「ミトコンドリア系」があり、アレルギー反応では解糖系のエネルギーが使われる。
·  アレルギー性気道炎症を再現したネズミに水素を7日間投与(腹腔内注射)し、エネルギー代謝経路や病状の変化について、水素を投与しなかったグリープと比較した。
·  水素を投与したネズミの肺では、「解糖系」の調整因子(HIF-1α)の能力が抑えられ、「ミトコンドリア系」を活性化する因子(PGC-1α)の能力が向上した。(論文中の図表参照)
·  水素投与により、気道の炎症細胞数が減少し、細胞ダメージを修復する遺伝子(サーチュイン)の発現が、水素を投与しなかったグリープより高かった(論文中の図表参照)

 

 

 

(原文と翻訳)

Abstract

Mechanisms mediating the protective effects of molecular hydrogen (H2) are not well understood. This study explored the possibility that H2 exerts its anti-inflammatory effect by modulating energy metabolic pathway switch.

【背景・目的】水素分子 (H2) の保護効果を媒介するメカニズムはよく知られていない。この研究では、エネルギー代謝経路スイッチを調節することにより、水素が抗炎症効果を発揮するかどうか調査した。

 

Activities of glycolytic and mitochondrial oxidative phosphorylation systems were assessed in asthmatic patients and in mouse model of allergic airway inflammation. The effects of hydrogen treatment on airway inflammation and on changes in activities of these two pathways were evaluated.

【方法】喘息患者とネズミのアレルギー性気道炎症モデルにおける解糖とミトコンドリアの酸化的リン酸化システムの活性を評価した。気道炎症とこれら2つの経路の活動変化に対する水素治療の効果を評価した。

 

Monocytes from asthmatic patients and lungs from ovalbumin-sensitized and challenged mice had increased lactate production and glycolytic enzyme activities (enhanced glycolysis), accompanied by decreased ATP production and mitochondrial respiratory chain complex I and III activities (suppressed mitochondrial oxidative phosphorylation), indicating an energy metabolic pathway switch. Treatment of ovalbumin-sensitized and challenged mice with hydrogen reversed the energy metabolic pathway switch, and mitigated airway inflammation. Hydrogen abrogated ovalbumin sensitization and challenge-induced upregulation of glycolytic enzymes and hypoxia-inducible factor-1α, and downregulation of mitochondrial respiratory chain complexes and peroxisome proliferator activated receptor-γ coactivator-1α. Hydrogen abrogated ovalbumin sensitization and challenge-induced sirtuins 1, 3, 5 and 6 downregulation.

【結果】喘息患者の単球とオボアルブミンの感作・負荷を受けたネズミの肺では、乳酸産生と解糖酵素活性が増加し(解糖の亢進)、ATP産生とミトコンドリア呼吸鎖複合体I、III活性の減少が見られ (ミトコンドリアの酸化的リン酸化の抑制)、エネルギー代謝経路の切り替えを示した。オボアルブミンで感作・負荷されたネズミに水素治療をすると、エネルギー代謝経路のスイッチが反転し気道炎症が緩和された。水素は、オボアルブミン感作・負荷による解糖酵素とHIF-1αのアップレギュレーション、ミトコンドリア呼吸鎖複合体とPGC-1αのダウンレギュレーション、オボアルブミン感作・負荷に誘発されたサーチュイン1、3、5、6のダウンレギュレーションを、すべて無効にした。

 

Our data demonstrates that allergic airway inflammation is associated with an energy metabolic pathway switch from oxidative phosphorylation to aerobic glycolysis. Hydrogen inhibits airway inflammation by reversing this switch. Hydrogen regulates energy metabolic reprogramming by acting at multiple levels in the energy metabolism regulation pathways.

【結論】アレルギー性気道炎症は、酸化的リン酸化から好気性解糖へのエネルギー代謝経路の切り替えに関連していることがデータで示された。水素はこのスイッチを逆にすることで、気道の炎症を抑制する。また、水素はエネルギー代謝調節経路の複数のレベルで作用し、エネルギー代謝再プログラミングを調節する。

 

 

Conflict of interest statement: The authors declare no competing interests.

【利益相反】なし

 

 

英語 日本語 説明
Allergic Inflammation アレルギー性炎症 本来人体に悪いことをしない物質に対して免疫機構が過剰に反応(アレルギー反応)してしまい、炎症が起きている状態。
energy metabolic pathway エネルギー代謝経路 エネルギ―を得るための代謝経路。「解糖系」と「ミトコンドリア系」の2つがあり、「解糖系」のエネルギーは、がん細胞や活性化した免疫炎症反応(アレルギー)などに使われる。
glycolytic 解糖 体を動かすエネルギーを作るために、糖質をどんどん燃やして瞬時にエネルギー(ATP)を供給する糖の代謝過程のこと。酸素を必要としない嫌気的解糖と、酸素を必要とする好気的解糖がある。
aerobic glycolysis 好気的解糖 生体内で酸素を利用してエネルギー(ATP)を作る反応過程。
lactate 乳酸 嫌気的解糖で産生されるエネルギー源。
mitochondrial ミトコンドリア 細胞内にある小器官の1つで、酸素を使って大量のエネルギー(ATP)を作るカラダの発電所。電子の流れを作り出してエネルギーを作る。
酸化還元 生体内において、ある分子を酸素と結合させる、または、ある分子から水素を奪うことを「酸化」と言い、その反対を「還元」という。
mitochondrial oxidative phosphorylation 酸化的リン酸化 胞内のミトコンドリアの内膜で行われる、呼吸による高エネルギー(ATP)産生様式のこと。食物を完全に酸化(燃焼)してそのエネルギーでアデノシン二リン酸をリン酸化してATPを合成する。
アデノシン二リン酸 生体内の代謝に関わり、エネルギー(ATP)補給の材料になる化学物質。
ATP アデノシン三リン酸 すべての植物、動物および微生物の細胞内に存在するエネルギー分子。エネルギーを蓄え、運搬し、必要に応じて形を変えて放出するというエネルギー代謝の主役。
asthmatic 喘息 気道に炎症が起こることで、咳、痰、息苦しさ、喘鳴(呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという音がでる)、胸苦しさなどの症状があらわれる病気。
allergic airway inflammation アレルギー性気道炎症 気道に起こるアレルギー性の炎症のこと。気道がせまくなり、繰り返し咳や喘鳴、呼吸困難が生じる呼吸器系の病気(気管支喘息など)の原因。アレルゲンは、ダニやハウスダスト、動物のフケや毛などさまざま。
Monocytes 単球 白血球の成分の一種。特定の感染と戦ったり、他の白血球が壊死した組織や傷ついた組織を取り除いたり、がん細胞を破壊したり、異物に対する免疫調節をするのを助ける。
ovalbumin オボアルブミン 鳥類の卵白に含まれる主要なたんぱく質。鶏卵の場合、卵白の約65パーセントを占める。卵アレルギーの代表的なアレルゲンとしても知られる。
sensitization 感作 アレルゲンが体中に入ると異物とみなして排除しようとする免疫機能がはたらき、抗体が作られ、繰り返すことで反応が徐々に増大していくこと。
mitochondrial respiratory chain complex I, III ミトコンドリア呼吸鎖複合体I、III ミトコンドリア内膜上にあり、酸化還元反応を利用したエネルギー代謝によりエネルギー(ATP)を作る呼吸鎖複合体。
呼吸鎖 生物が酸素を用いる好気呼吸を行うときに起こす細胞呼吸の3つの代謝のうちの最終段階。電子伝達系ともいう。
呼吸鎖複合体 細胞呼吸(好気、嫌気関わらず)を行う生物に見られる膜(ミトコンドリア内膜など)に存在する分子量10万から100万程度の巨大タンパク質。
hypoxia-inducible factor-1α(HIF-1α) 低酸素誘導因子-1α 細胞内が低酸素状態に陥った際に活性化される転写因子。通常の酸素条件下では発現レベルは少ない。解糖に必要な酵素をコードする遺伝子の発現を調節する。
upregulation アップレギュレーション 神経伝達物質やホルモンなどへの応答能が増大すること。受容体は細胞DNA内の命令で作成または発現し、シグナルが弱いときは増加(アップレギュレート)し、強いときには減少(ダウンレギュレート)する。
downregulation ダウンレギュレーション 継続的または過度な刺激により、神経伝達物質やホルモンなどへの応答能が低下すること。
peroxisome proliferator activated receptor-γ coactivator-1α PPARγコアクチベーター1α(PGC-1α) ミトコンドリアの数の増加・機能向上を誘発し、エネルギー産生や熱消費に関わる多くの遺伝子発現を制御する分子。
sirtuins1, 3, 5, 6 サーチュイン 1、3、5、6 細胞のダメージ修復を行い、老化の制御に重要な役割を果たす遺伝子。別名「長寿遺伝子」。
energy metabolic reprogramming 代謝再プログラミング 細胞が代謝システムを自在に変化させる仕組み。細胞の機能や増殖能が大きく変化する際にも生じる。
bronchoalveolar lavage fluid (BALF) 気管支肺胞洗浄液 気管支鏡を用いて,肺の一部に滅菌した生理食塩水を注入して、吸引・回収した液性成分や細胞性成分液(洗浄液)のこと。肺疾患や肺感染症の診断や病態を明らかにするための検査に使われる。

 

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